【地域活動に必要な「アイデンティティ(identity)」(地域活動ワンポイント知識)】
【地域活動に必要な「アイデンティティ(identity)」】
<自分自身を形成>
昭和8(1933)年にドイツにナチス政権が誕生したときに、祖国を捨ててアメリカに渡ったエリクソンという精神科医は、他の治療機関で手に負えなくなった問題行動を起こす青年に、独自の心理療法で施して、きわめて高い治癒率を上げました。この、エリクソンが提唱した治療の概念が、「アイデンティティ(identity)」。
だいたい、私たちは青年期において、自分探しの旅ではありませんが、「自分とは何か、これからどう生きていくのか」「どんな人間になるのか、どんな仕事についたらよいのか」「社会の中で自分なりに生きるにはどうしたらよいのか」といったことに悩みながらも、自分自身を形成していきます。
ところが、これができないと自分のやるべき事が分からないまま日々を過ごし、場合によっては、熱狂的なイデオロギー(カルト宗教や非行など)に染まりやすいと説きました。これが、いわゆる、政治的非行、宗教的非行、不良グループ、ヤクザ、暴力団。
これは頭の善し悪し、テストの成績の良い悪いとはまったく関係ありません。どんなに成績が良くても、性格が良くて聞き分けの良い子であったとしても、自分が何者であるのかがきちんと形成されなければ、結果として、それを怪しげなものに求めてしまう危険性があるのだそうです。
ある宗教団体の信者が地下鉄にサリンという猛毒を持ち込んで、多くの犠牲者を生むテロ事件を起こしました。この事件に関わった人物は、組織を運営し、あるいはこういった薬品を作り、綿密な計画を作り実行できるという、科学者であり医者でありリーダーであり、まことに優秀な頭脳を持つ者でした。
いわゆる、どんなに優秀な頭脳をもっていても、自分どう生きたら良いのかというアイデンティティを持たないと、何かに頼らなくてはならず、その精神の隙間に魔の手が忍び込んでしまいます。
<アイデンティティとは>
アイデンティティとは、「自己同一性」とも言われます。自分を何と同一化するのかというと、いろいろあります。両親であったり、優秀なご先祖様や尊敬する恩師、歴史上の人物、あるいは、誇りある日本の文化、歴史、風習に同化させることです。
これがどういうことかというと、過去、現在、未来という時間の縦軸と、家族や地域、国家といった横の広がり、そういった集合体の一部であると認識することになります。
ですから、もし、縦軸も横軸も集合体の一部であるという認識がないと、「私だけの個体」の範疇でしか考えられなくなってしまうので、自己の都合、自己の利益が優先してしまい、目先の金儲けや一時的な快楽に走り、あるいは、被害者を自称する加害者になってしまいます。
<アイデンティティを身につけると「忠誠性」が養われる>
さて、エリクソンは、若い時にしっかりとしたアイデンティティを身につけると、人間の根本的な性質としての「忠誠性」が養われると説いています。
この「忠誠性」とは、、様々な社会的価値やイデオロギーに自分の能力を捧げることのできる性質のことを言います。両親、地域、組織、国家といった社会を形成するものへの忠誠心でもあります。
そして、日本という国は、家族と家族が協力しあって集落や村を形成し、そういった地域コミュニティが集まっていつの間にか国家を形成していたという国柄を持つ国です。
この、国全体が家族だといういわゆる国体という文化が神話の時代から延々と受け継がれています。その地域コミュニティの様々な取り決めを行うのが政治であり政体です。人の上に立つものは、みんなが豊かに暮らせるためにその立場があります。
そしてそういう仕組の中に、自分自身を置き、社会の中でしっかりと生きて、その勤めを果たしていく。それが日本人のアイデンティティです。
地域で活動する私たちが、新羽の歴史、横浜の歴史、日本の歴史を学び、新羽を築いたすごい先輩方の功績を学ぶということは、、過去、現在、未来への流れの中の一部であり、広く地域や市政や国家の一部であることを認識して、未来に向けて新羽地域を持続していけるよう、アイデンティティーを改めて考え認識することにつながります。
参考:アイデンティティ: 青年と危機 エリク・H. エリクソン著 ほか
(文責:事務局 小松)
<自分自身を形成>
昭和8(1933)年にドイツにナチス政権が誕生したときに、祖国を捨ててアメリカに渡ったエリクソンという精神科医は、他の治療機関で手に負えなくなった問題行動を起こす青年に、独自の心理療法で施して、きわめて高い治癒率を上げました。この、エリクソンが提唱した治療の概念が、「アイデンティティ(identity)」。
だいたい、私たちは青年期において、自分探しの旅ではありませんが、「自分とは何か、これからどう生きていくのか」「どんな人間になるのか、どんな仕事についたらよいのか」「社会の中で自分なりに生きるにはどうしたらよいのか」といったことに悩みながらも、自分自身を形成していきます。
ところが、これができないと自分のやるべき事が分からないまま日々を過ごし、場合によっては、熱狂的なイデオロギー(カルト宗教や非行など)に染まりやすいと説きました。これが、いわゆる、政治的非行、宗教的非行、不良グループ、ヤクザ、暴力団。
これは頭の善し悪し、テストの成績の良い悪いとはまったく関係ありません。どんなに成績が良くても、性格が良くて聞き分けの良い子であったとしても、自分が何者であるのかがきちんと形成されなければ、結果として、それを怪しげなものに求めてしまう危険性があるのだそうです。
ある宗教団体の信者が地下鉄にサリンという猛毒を持ち込んで、多くの犠牲者を生むテロ事件を起こしました。この事件に関わった人物は、組織を運営し、あるいはこういった薬品を作り、綿密な計画を作り実行できるという、科学者であり医者でありリーダーであり、まことに優秀な頭脳を持つ者でした。
いわゆる、どんなに優秀な頭脳をもっていても、自分どう生きたら良いのかというアイデンティティを持たないと、何かに頼らなくてはならず、その精神の隙間に魔の手が忍び込んでしまいます。
<アイデンティティとは>
アイデンティティとは、「自己同一性」とも言われます。自分を何と同一化するのかというと、いろいろあります。両親であったり、優秀なご先祖様や尊敬する恩師、歴史上の人物、あるいは、誇りある日本の文化、歴史、風習に同化させることです。
これがどういうことかというと、過去、現在、未来という時間の縦軸と、家族や地域、国家といった横の広がり、そういった集合体の一部であると認識することになります。
ですから、もし、縦軸も横軸も集合体の一部であるという認識がないと、「私だけの個体」の範疇でしか考えられなくなってしまうので、自己の都合、自己の利益が優先してしまい、目先の金儲けや一時的な快楽に走り、あるいは、被害者を自称する加害者になってしまいます。
<アイデンティティを身につけると「忠誠性」が養われる>
さて、エリクソンは、若い時にしっかりとしたアイデンティティを身につけると、人間の根本的な性質としての「忠誠性」が養われると説いています。
この「忠誠性」とは、、様々な社会的価値やイデオロギーに自分の能力を捧げることのできる性質のことを言います。両親、地域、組織、国家といった社会を形成するものへの忠誠心でもあります。
そして、日本という国は、家族と家族が協力しあって集落や村を形成し、そういった地域コミュニティが集まっていつの間にか国家を形成していたという国柄を持つ国です。
この、国全体が家族だといういわゆる国体という文化が神話の時代から延々と受け継がれています。その地域コミュニティの様々な取り決めを行うのが政治であり政体です。人の上に立つものは、みんなが豊かに暮らせるためにその立場があります。
そしてそういう仕組の中に、自分自身を置き、社会の中でしっかりと生きて、その勤めを果たしていく。それが日本人のアイデンティティです。
地域で活動する私たちが、新羽の歴史、横浜の歴史、日本の歴史を学び、新羽を築いたすごい先輩方の功績を学ぶということは、、過去、現在、未来への流れの中の一部であり、広く地域や市政や国家の一部であることを認識して、未来に向けて新羽地域を持続していけるよう、アイデンティティーを改めて考え認識することにつながります。
参考:アイデンティティ: 青年と危機 エリク・H. エリクソン著 ほか
(文責:事務局 小松)
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