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2017/04/13

【世界的に有名な「横浜市歌」と地域コミュニティについて(地域活動ワンポイント知識)】

 みなさんは「横浜市歌」をどのくらいの頻度で歌ってますでしょうか。
 地域活動をやっていると、少なくとも一般の皆さんよりは多く歌う機会があります。横浜市では、成人式、横浜市関連団体の大会や行事、市立学校の卒業式と入学式、開港記念日の式典などで演奏・斉唱されています。
 横浜市立の小学校では校歌とともに市歌の歌唱指導がありますので、多くの方が歌えます。筆者も小学生のころは、まだ少し聞こえていたので、この頃に覚えた歌は歌うことができます。ちなみに、県の行事もよく参加しますが、県民歌「光あらたに」はあまり歌った記憶がありません。さて、この「横浜市歌」は、明治42(1909)年に、横浜開港50周年を記念して作られました。
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【横浜市歌】
わが日の本は島国よ (わがひのもとはしまぐによ)
朝日かがよう海に (あさひかがよううみに)
連りそばだつ島々なれば (つらなりそばだつしまじまなれば)
あらゆる国より舟こそ通え (あらゆるくによりふねこそかよえ)
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⇒(1番で国家観)
我が陽出国、日本は島国で、
朝日が輝く恵みの海に囲まれた連なりそびえる豊かな島々の国なので、
たくさんの国から船が通ってくる。
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されば港の数多かれど (さればみなとのかずおおかれど)
この横浜にまさるあらめや (このよこはまにまさるあらめや)
むかし思えば とま屋の煙 (むかしおもえばとまやのけむり)
ちらりほらりと立てりしところ (ちらりほらりとたてりしところ)
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⇒(2番で歴史認識)
港はたくさんあるけれども、この横浜に勝る港はない。
かつてこのあたりは、炊事場の煙がちらほらとあがるところでした。
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今はもも舟もも千舟 (いまはももふねももちふね)
泊るところぞ見よや (とまるところぞみよや)
果なく栄えて行くらんみ代を (はてなくさかえてゆくらんみよを)
飾る宝も入りくる港 (かざるたからもいりくるみなと)
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⇒(3番で過去への感謝と現在と未来への創造)
今は(と言っても今から108年前ですが)、何百何千の船が停泊する港です。
永久(とわ)に栄えゆくために「飾る宝」とは、世を彩(いろど)る文化や物資を、これからも受け入れる港です。
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 歌詞は短いのですが、1番で国家観、2番で歴史認識、3番で過去への感謝と現在と未来への創造が織り込まれています。さすが・・・森鴎外の作詞です。作曲は「村祭り」や「村の鍛冶屋」を作曲した南能衛(みなみよしえ)
 すでに 108年も歌われていますが、争いの世紀といわれる20世紀に国がなくなったり、街が破壊されたりという近代の歴史を鑑みると、こんなに長く歌われている市歌というは世界でもめずらしいと思います。
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 そんな古い市歌を持ち、古くからの横浜市民は自らを「浜っ子」と呼んで誇りとしています。筆者は、「浜っ子」ではなくて、「江戸っ子」です。東京には8年、横浜には50年住んでいますが、東横線で行けばすぐにおじいちゃん、おばあちゃんに会うことができるので、祭りだ神輿だと、しょっちゅう、じいちゃん、ばあちゃんのところに行ってました。テレビでは、東京の暮らしは「人と人との関係を断ち切ったドライでかっこいい都会暮らし」などと気取っているような場面もありますが、50年前の面影がそのままであるところもあって、昔から住んでいる人達にとっては、地域のコミュニティは大変盛んです。神社のお祭りとかお神輿などの古い伝統も受け継がれています。
 後楽園や東京大学がある文京区は、東京の中でも地域コミュニティがたいへんしっかりしているということで、全国でも有名です。
 新羽町は田んぼが埋め立てられて住宅街に、地下鉄の駅が二つも出来てたくさんのマンションが分譲されて、市街化調整区域以外は、筆者が昭和40年に越してきた頃の面影はほとんど残っていません。1995年の阪神淡路大震災の惨状をみて、35歳で地域活動に関わり20年ちょっとになりますが、東京よりも新羽町の方が、隣近所、人と人との関係が希薄だということはいつも感じていました。それは、先祖代々からここに住居を構えていたわけではなく、ここ新羽町自治会が昭和40年にあちこちから人がここに集まって形成された地域だからだと思います。
 しかし、震災の被災地の避難所にみられるように、何かあれば地域、地元で互いに助け合わなければ生きていけないのが、人というものです。そして、人は、人と人との関係の中で、はじめて人として成長することができます。あまり、個人主義が優先されてしまうと日本人としての成長を阻害することになってしまいます。
 いま、区役所でも自治会町内会への加入を呼び掛けていますが、ご近所コミュニティや、自分の住む地域の誇りを取り戻すことが、よりよい日本の将来につながるのだと思っています
(文責:事務局 小松)
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